労働環境の整備が急がれる

日本は、人口1千人に対する看護師数が世界的に見ても多いと言われています。この数字だけを見ると、医療施設などで働く看護師は充実をしているように考えられます。
しかし厚生労働省の調査によると、2015年までの過去5年間で約5万5000人以上が不足をしている結果になっています。どうしてこのような不足が起こるのでしょうか。

平成24年時点での全国の人数は154万人で、離職者は16万1000人、その内再就職をした人は14万人で2万1000人マイナスになっています。ただ新規資格取得者が5万1000人いるので、増減率はプラス3万人になる計算です。

ここで注目をしたいのが、潜在看護職員と呼ばれる人たちです。
女性がほとんどを占める職種ですので、結婚や出産・子育てなどで仕事との両立が難しく仕事を辞める人が少なくありません。ブランクがあると再就職をしても新しく覚えなければならないこともあり、結局は職場を離れるというケースもあります。
東京23区や政令指定都市などの大都市ほど離職率が高いという結果も出ており、規模が大きな病院が多く夜勤や長時間労働などの問題があることが伺えます。

その一方で、都市部でもパートなどの短時間勤務の雇用形態を取っている職場は、離職率が低い結果になっています。
このことから、看護師不足を解消するため、教育体制の充実や家庭・育児との両立が図れるような勤務体制を整えるなど、女性が安心して働けるような環境を作ることが今後の課題と言えるでしょう。